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心が風邪をひいている人にかけていけない言葉~藤崎彩織 「ふたご」を読んで、数年前の娘のことを思った。

SEKAI NO OWARIというバンドのことは何も知らない。名前とその風貌くらいは知っている。ボーカルの人の名前と不思議なマスクをかぶったメンバーがいるということくらいは。

きっと曲はどこかで耳にしたことはあるのだろうけれど、タイトルもなにも知らない。

そのバンドメンバーの1人が小説を書き、それが直木賞候補になったということを知り読んでみることにした。

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最近小説が読めない。


私が本を読むのが好きだと言うことはなんかいもこのブログで書いてきているのでご存じの方も多いかと思います。

ミーハーで雑食の読書。単に楽しむための読書。そこから何かを得ようとか生き方の役に立てようとか、そういうことは全く考えていない。だから実用書やノンフィクションも少しは読むけれど、ほとんどがフィクション、小説だった。

10年くらい前から読書の記録をつけはじめてみたところ、年間だいたい100冊超の本を読んでいることがわかった。その9割以上が小説。

元々好きなのは本格ミステリ。島田荘司に始まって綾辻行人に心酔し、法月倫太郎、我孫子武丸、有栖川有栖あたりを読みまくり、そのうちに一番好きになったのが北村薫。

人が死なない本格ミステリーがこの世にあるのだということを知って、北村薫の物語に、日常の謎に、そして文章、言葉にひかれていった。
一時期は上記した作家さんたちの本はほとんど全部買って自宅に保管していた。

ところがぱったり読書が進まなくなったのが、2年ほど前から。理由を考えて見ると

・集中力がなくなった

・持久力がなくなった

・なにより視力が悪くなった

この3点だと思う。

楽しむための読書ができなくなったのは、人生の楽しみの何分の1かを無くしてしまったような気がする。

そうはいいつつも、ミーハーなので直木賞、芥川賞、本屋大賞などのノミネート発表があると「どれどれ」と読んでみたくなって手に取るのだけれど、最後まで読まずに挫折してしまうことが多い近頃。

そして今回手に取ったのが藤崎彩織 「ふたご」だった。最後まで読めるかなと思いつつ読み始めると。

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心を病んだ青年にかけてしまった言葉に自分の過去を重ねる。


本についての予備知識はまるでなく読み始めた。

18ふたご

バンドのキーボード担当の女性が初めて書いた小説がいきなり直木賞ノミネートされたということくらい。

読み始めるとそれは、彼女自身の半生を描いたとも思える私小説かのような内容。

その中盤で出て来た文章にハッとさせられある出来事について思い出すことになったのだ。

一部本文から引用させていただきます。

「例えば毎日朝六時に起きてmしっかりした生活を送っていた人が病気になったなら・・・・・今は病気のせいで起
きられないんだなって思う。でも君は昔から朝起きてこなかったし、高校だってすぐにやめちゃったし、どこからどこまでが病気なのかって、時々おもっちゃうんだよね・・・・」

引用 藤崎 彩織「ふたご」

これは主人公である「なっちゃん」こと夏子が、ひとつ先輩の月島君にかけてしまった言葉だ。

月島君はこの時心を病み一時入院生活を送っていた。

これに対し月島君はこう答える。

「なっちゃんまでそういう風に言うんだね。そういうのはいい。そういうのは分かてるから。もう話すことない。じゃあね」



中学時代から続く2人の関係はこの小説の根冠でありここで簡単に書くことはできないし、私などがひとことでは言い表せないほど、息苦しく、重い関係だ。

ただこのなっちゃんが月島に思わずかけてしまった言葉と、ほぼ同じ事を私は娘にかけてしまったことがあるのだ。

心を病む人の気持ちに寄り添うことの難しさ。


もう8年以上前のこと。

首都圏で就職した年、娘はあるトラブルに巻き込まれてしまった。警察も介入したのだから事件と言ってもいいと思う。

被害者である娘は、そのことをきっかけに徐々に人混みへ出ることもできなくなり、通勤電車に乗ることも難しくなってしまった。もちろん心療内科へかかっていた。引っ越しも余儀なくされた。

会社からは長期休暇をもらって、1ヶ月実家に戻り、また東京に戻ったりを繰り返していた。

当時娘がつとめていた会社はそこそこ大きな企業だったからか、産業医が復帰するまでのプログラムを立ててくれてそれに従って、完全休暇~週に1回通勤して面談する~週に2回の通勤、数時間の勤務・・・などのように親からしてみたらとても親身になった対応をしてくれていたと思う。(今どきの会社は皆そうなのだろうか?)

ただ、それでも根本的によくならない娘は、時々また1ヶ月単位で実家へ戻ってきた。

そんな時の娘の生活はというと、まさに先ほどの小説「ふたご」の中に出てきた月島君のようだったのだ。

実家に帰って一日中寝ている。昼間で寝て、起きてきてご飯を食べ、テレビを見ながらまた寝る。自室に入ってまた寝る。夜中に起きてなにやらしている。そしてまた翌日昼まで寝ている。

外出するわけでもない、家事の手伝いをするわけでもない、建設的なことをするわけでもない。

何かをさせることが復帰の役に立つだろうと、手伝いをうながしてもへらへらと笑って「お母さんやってよーー」「わたし調子悪いしー」とそんな調子。

たまに一緒に出かける用事を作っても、直前になって起きてこない。もう計画を立てているというのに「行かないわ~」と平気で行ってのけるのだ。

最初は「病気なのだから」と思っていた私もそんな毎日が2週間3週間と続くと段々いらいらとしてくる。

そんなときに私がかけてしまった言葉が 小説のなっちゃんが月島にかけた言葉と同じだった。

「○○子はさ、学生時代だっていつもそうだったじゃん。だらしない生活してさ、家事は全部妹にさせて、大学だって午前中の講義はさぼってばかりいたんでしょ。だから単位だっていくつも落としてたし。夏休みに家に帰ってきたときだって、今とおんなじだったじゃん。寝て食べて起きて、テレビ見て。家の手伝いもしないで。普段きちんとした生活をしている人ならわかるよ。でもこんなの病気じゃないじゃん。前と何にも変わらない。こんな生活しているならさっさと東京帰ったら?」

そして本当に娘はその日に荷物をまとめて東京に帰ってしまったのだ。

同じように育ててきた子どもたちだけれど。


小説の中でなっちゃんがかけてしまった言葉で、心を病んでいた月島君がさらに傷ついてしまったように、私の心ない言葉であのときの娘はどれだけ傷ついたのだろう。今の私なら少しはわかる。

それは今は多少なりとも、自分自身が数年前から心の平静を保てないことがあったり眠れないことがあり、睡眠薬や安定剤などに頼ることがあるからだ。

でも当時の私は「こんなにことぐらいで睡眠薬を飲むなんて」(きちんとお医者さんから処方されているにもかかわらず)そういう気持ちが心のどこかにあった。それは口にはださなかったけれど。

娘が睡眠薬のことを「みんざい」という呼び方をするのもなぜだか気に入らなかった。

4人の子どもたちは皆同じように育ててきたつもりだけれど、この娘とはどうもぶつかることが一番多かった。可愛いことには同じなのに、ぶつかり合い、時にののしり合う。

それは自分とこの娘が似ているからだと気付くのだ。似ているからこそ、その部分が憎らしく思えてしまう。たまらず嫌に見えてしまう。

なっちゃんと月島君が考え方がとても似ていて、だからこそぶつかり合うように。

2年近くかかった娘の病の完治。


結局娘はそれからも治療を続けなんとか仕事復帰をすることができた。2年近くかかったと思う。私と娘との関係も修復したり、また小さなケンカをしたりしながらも、娘は元気になり大人になっていった。

でも今度は社内の上司との人間関係が上手くいかず、結局3年余りでその会社を退職することになる。

その後 何回かの転職をしているときに、今の彼と出会い、娘は別の会社につとめてもう長い。それなりの仕事もまかされ本人もやりがいがあるようだ。なによりわがままな娘を包み込んでくれるような今の彼と出会って結婚したことが娘にとって一番の治療になったのだと思う。親としてもとても感謝している。

心の病などということと無縁に生きてくると、そういう人の立場に立つことは難しい。

小説のなかのなっちゃんもそうだったのだと思う。なっちゃん自身も、自分の進学、ピアノのレッスンのために悩み眠れない日々を過ごしていたのに。

なっちゃんと月島君は中学時代から、深い精神的なつながりを持ち続け、ぶつかり合いながら不思議な関係を保ち続け二十代でバンドを結成しメジャーデビューする。

そんななっちゃん、いやSEKAI NO OWARIのsaoriが書いた詩を、歌を聴いてみたいと思った。

今度CDショップに行ってレンタルしてこよう。

そしてこういう小説に出会うと、やっぱりもっと本を読みたいと思うのだ。老眼鏡を新調しないといけないな。

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みどり子

50代後半片付けられない主婦みどり子に突然起こった人生の転機。夫の失職そして病。泣いてばかりはいられない。
60歳までに今の暮らしをミニマムに、物も生活も三分の一にすることを目標に断捨離と掃除を節約を1から頑張る記録を綴ります。

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